仕事の種類をザックリ分類すると「プロジェクト型」「非プロジェクト型」の2つのタイプに整理できます。 この2つは、仕事の進め方から成果の出し方まで--「マネジメント」の方法がまったく異なります。 続きを読む・・・ |
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中島みゆきさんの“♪地上の星よ”を聴くだけで、うるうるする人もいるでしょう。私もそうです。ああいうのにはめちゃくちゃ弱い。結婚式と同じで、泣かせるように泣かせるように話をもっていっていることは分かっていても・・・やっぱし泣いてしまう。大の苦手です。あるいは、新製品や新サービスの開発、新規事業や新会社の立ち上げ、組織改革、システム開発、調査研究、コンサルティングなどをイメージする方もいると思います。 私の業界では、広告やPRのキャンペーン、イベント、博覧会、CMなどのクリエイティブ制作、パンフレットやポスター、映像などの制作、あるいはマーケティングリサーチ、生活者動向調査・・・などになります。 例えば、社内に「○○委員会」などが臨時に設けられ、検討結果のレポートを役員会に提出する、といったことがあります。人事評価制度検討委員会、あるいは将来ビジョン策定委員会・・・。これらもプロジェクト型の仕事です。報告が終わったら、プロジェクトは解散します。
日常生活に即したケースでは、例えば、お父さんが子どもと一緒に、日曜大工で犬小屋を作る。設計図を描いて、材料を集めて、親子で作業を分担して、土日の2日間で完成させる…これなんかも立派なプロジェクトです。他にも、お客さんを呼んでホームパーティを開く、一週間の家族旅行を企画するといったことも、プロジェクトでしょう。--ここでは、「仕事」に限って話を進めます。では、プロジェクトと、プロジェクトではない仕事(=オペレーション)では、何が違うのでしょうか? 以下では、「PMBOK(ピンボック)」というガイドブックを参考にしながら、プロジェクトとは何か?について整理します。
【参考図書】・・・・・「PMBOK」のフルスペルは「Project Management Body of Knowledge」。日本語タイトルは「プロジェクトマネジメントの知識体系」。米国プロジェクトマネジメント協会(PMI:Project Management Institute)が提唱する、プロジェクトマネジメントのためのフレームワーク--プロジェクトを実施する際の基本的な考え方、手順--をまとめたもので、事実上の国際標準になっています。1996年に改訂版が発行され、4年に一回、オリンピックの開催年に版を重ねており、2004年10月に第三版がリリースされています。--(財)エンジニアリング協会が日本語版を発行しています。・・・・・1) プロジェクトの期間(有期性) プロジェクトの仕事は、期間が限られています。つまり、始まりと終わりが明確に示されている仕事がプロジェクトです。 一方、オペレーションの場合は、基本的に期限は限られていません。企業が続いている限り、あるいは事業が続いている限り、ずっと実施されるものです。 【期間】 プロジェクト 有期性(始まりと終わりがある) オペレーション 継続性(ほぼ永久に繰り返す) たとえば、何かの新製品を開発し市場投入する場合を考えて見ましょう。 新製品を企画し、設計し、プロトタイプをつくり、市場調査を行い、社内プレゼンを行って、役員会で開発にGOが出る。そして量産の準備に入る--ここまでがプロジェクト。 実際の量産体制に入ると、オペレーションの段階になります。調達・製造・販売などのステップを繰り返しながら、その製品が生産中止になるまで、オペレーションは続きます。 他にも例を考えてみましょう。 日常のセールス活動はオペレーションですが、たとえば3ヶ月間の販促キャンペーンといった場合には、期間が限られているのでプロジェクトになります。 最初に名刺をデザインして印刷するのはプロジェクトですが、その後増刷するのはオペレーションになります。
もっと分かりやすい例でいえば、「結婚式」はプロジェクトで、「結婚生活」はオペレーション、ですね。--「結婚式」は、結婚を決めてから式を挙げるまでの(有期的な)プロジェクトで、「結婚生活」は、結婚してから夫婦どちらかが亡くなるまで、あるいは離婚して分かれるまでの(継続的な)オペレーションになります。--ですから、よく言われるように、結婚式は恋愛というプロジェクトの「ゴール」であると同時に、その後の、幸せな家庭を築いていくというオペレーションの「スタート」になるわけです。プロジェクトは最初から、「いつ終わる」という期限が定められてスタートします。 終了時点とは、プロジェクトの「目的が達成されたとき」が理想ですが、ときには、目的が達成される見込みがなくなり、プロジェクトが「放棄されたとき」にも終了します。 プロジェクトの期間は、何年にもわたる長期のものもあれば、数日間で終わる短期のものもあります。 しかし、すべてのプロジェクトに共通しているのは、必ず終結時点があるということです。いったん開始されたら永久に続く、というプロジェクトはありません。その場合はオペレーションになります。 プロジェクトは、「納期」というゴールを目指してマネージされます。 そして、「納期」から逆算して、すべてのスケジュールが組み立てられます。 「納期」と「スケジュール」は、プロジェクトマネジメントの重要なポイントになります。 2) プロジェクトの成果(独自性) プロジェクトによって生み出される成果やサービスには、一つとして同じものはありません。唯一無二の成果を創出すること--今までに無い新しいものを創造することが--プロジェクトの目的でありミッションです。そのためにプロジェクトは遂行されます。 したがって、オリジナリティの創出をどのように実現するかということが、プロジェクトマネジメントの重要なポイントになります。 【成果】 プロジェクト 独自性(唯一無二の成果を創出) オペレーション 反復性(類似物の生産を繰り返す) 同じものを繰り返し作り出す、あるいは同じことを繰り返すのであれば、それはオペレーションになります。 新製品や新サービスを設計する仕事ならプロジェクトですが、その設計にもとづいて製造したり、サービスを提供したりするのはオペレーションになります。 同じものを同じやり方で、繰り返し作り出したり実行したりする仕事の場合は、オペレーションになるわけです。 時には、成果物に類似点があったり、反復しているように見えたりして、プロジェクトなのかオペレーションなのか、分類に迷うことがあります。 注文住宅の建設を考えてみましょう。同じ工務店で似たような家がたくさん作られていた場合、家を建てるという仕事は、一見オペレーションのように思えます。 しかし、施主が違えば、どんな家にしたいかとい要望はそれぞれ異なり、設計図は別のものになります。また、たとえ似たような設計図であったとしても、環境や状況が変われば違ってくるはずです。したがって、この場合は一軒一軒が個別のプロジェクトになります。 逆に、毎月末の経理処理や、年度末の決算処理などの場合、当然、毎月・毎年の経費や売上などの金額は異なります。しかし、処理する仕事のやり方そのものは、ほとんど同じです。毎月・毎年同じやり方を繰り返します。ですから、この場合はオペレーションになるわけです。
プロジェクト |
オペレーション |
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【期間】 |
有期性(始まりと終わりがある) | 継続性(ほぼ永久に繰り返す) |
【成果】 |
独自性(唯一無二の成果を創出) | 反復性(類似物の生産を繰り返す) |
【組織】 |
一時的(異なる組織のメンバー) | 固定的(同じ組織のメンバー) |
【資源】 |
限定的(プロジェクト内で管理) | 全体的(組織全体で管理) |
【業務】 |
計画的(非定型の計画業務) | 発生的(定型の発生/定期業務) |
リーダー |
リード=ビジョンで引っ張る |
共感力・政治力 |
マネジャー |
マネージ=何とかうまくやる |
実務能力・胆力 |
この3つは、トランスパーソナル心理学の理論家ケン・ウィルバーがいうところの「プレ・パーソナル(前個)」⇒「パーソナル(個)」⇒「トランス・パーソナル(超個)」という「意識の進化と成長のサイクル」の概念と同じです。--詳しくは「トランスパーソナル」のカテゴリーで整理します。【依存】状態にある人とは、どんな人なのでしょうか?たとえば・・・ ・指示がなければ動けない。 ・試さないですぐに人に頼る。 ・自分の判断で仕事ができない。 ・自分の仕事に責任がもてない。 ・分担された仕事を一人前にこなせない。 【依存】状態にある人が一人でもチーム内にいるとたいへんです。 チームワークが成立しません。チームは足を引っ張られることになります。「1+1=1以下」になってしまいます。 【自立】したプロの集団であれば、「1+1=2」の結果をきっちり出すことができます。 依存状態の人がメンバーにいた場合、どうすればよいのでしょうか。 交代してもらう。それが無理なら、誰かのアシスタントに徹してもらうことです。 最悪は--辞めてもらう。
依存している人に限って、自分は一人前だと肩肘張ってみたり、人の意見に批判的だったりすることがあります。批判することで自分の存在を目立たせようとしている。そうすることによってアイデンティティを保とうとしているのです。本当は逆効果なのですが、本人はそのことに気づいていない場合が多いのです。
「どうしたら、商品の特徴を正確伝えることができるだろうか?」 |
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「よい商品だと思わせるには、どうすべきか?」 |
「どうしたら、安心感を抱いてくれるだろうか?」 |
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「安心感を植え付けるためには、どうすべきか?」 |
「どうすれば、わざわざお店に足を運んでいただけるだろうか?」 |
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「矢も盾もたまらず店に走らせるためには、どうすべきか?」 |
「どうすれば、必要な人に必要だと思ってもらえるだろうか?」 |
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「見た人の欲求を高めるためには、どうすべきか?」 |
・・・・・ 注1) “関係者” ステークホルダー(stakeholder) コーポレート・コミュニケーションの対象を、ステークホルダーといいます。 ステークホルダーとは、組織に対して利害関係を持つ人々のことです。社員や消費者や株主だけでなく、取引先や提携先、さらには地域社会や行政なども含めます。 誤解を恐れずに言えば、ステークホルダーの中でもっとも重要なのは、組織の構成員である社員や経営者です。顧客ではありません。なぜなら、動かす人がいなければ、組織は立ち行かないからです。 同じミッションのもとに集まった人々が「何をやりたいのか」を最優先に考えるべきであると思います。“顧客第一主義”などのスローガンは、そこに集まった人々の考え方、精神の問題です。 ステークホルダーの大前提として地球環境があります。地球環境のことは、考慮すべきか否か、といった問題ではなく、組織を運営する上での大前提、大常識、大基本です。--そう思います。 ・・・・・ 注 2) 社会的集団とミッション 集団には、「社会的集団」と「自然的集団」があります。 社会的集団とは、何かの目的や意図をもって人々が集まり、同じ方向に向いて活動し、社会に影響を与えていこうとする集団です。企業・団体といった組織がその代表例です。 自然的集団とは、人々は自然発生的に集まった集団です。地縁の集まりや、家族・親族など血縁関係などに代表されます。 自然的集団と違って社会的集団には、〈ミッション〉が必要になります。 子どもたちが何となく砂場に集まり、好き勝手に遊んでいる風景は--自然的集団の状態です。 誰かが中心になって「“かくれんぼ”する人、この指とまれ!」というミッションを掲げ、その呼びかけに応えて何人かが集まれば--社会的集団になります。 そのうち子どもたちが“かくれんぼ”に飽きてしまえば、またバラバラの状態(自然的集団)に戻ります。 ・・・・・
・・・・・ コミュニケーション支援業務とのかかわり: ○組織のコミュニケーション活動を支援する業務には、広告代理店系のPR会社に転職した1980年代後半から今まで、ずっと携わっています。コミュニケーション支援業務に関して、私の考え方や気づいたことなどをレポートしています。続きを読む⇒ ○2004年、コミュニケーションについて一から勉強し直そうと思い立ちました。日本メンタルヘルス協会、日本トランスパーソナル学会など、いくつかの心理学講座やセミナー、ワークに参加しています。その様子を、これから少しずつまとめていきます。⇒ プロジェクト業務とのかかわり: ○社会人になってから、一貫してプロジェクト型の仕事に携わってきました。クライアント(依頼されるお客さま)に対して企画提案し、受注し、プロジェクトチームを組み、予算内で納期までに仕上げる。役割は、営業、リーダー、マネジャー、メンバー・・・すべて経験してきました。 ○これまで何本のプロジェクトに関わってきたのか、正確にはカウントはしていませんが、最低でも年間10本~20本はやっていましたので、20年間で数百本にはなっていると思います。うまくいったプロジェクトもあれば、失敗したり、途中で頓挫したりしたものもあります。それらの経験をもとに、プロジェクトマネジメントについてまとめています。続きを読む⇒ ・・・・・◇業務の分野 【コーポレートコミュニケーション】 企業・団体など組織の存在や活動内容を、 関係者に認知・理解・共感してもらうための活動で、 主に「広報」活動をさします。 【マーケティングコミュニケーション】 商品やサービスなどを、 顧客に認知・購入(利用)・リピートしてもらうための活動で、 主に「広告」「販促」活動をさします。
・・・・・ ○コーポレートコミュニケーションとは何か?について、まとめています。 続きを読む⇒ ○マーケティングに関しては、私は専門ではありませんが、個人的に思うところをまとめます。⇒ ・・・・・◇業務の内容 ※以下の業務は、すべてコミュニケーション分野に限定して行っています。 【コンサルティング】 [consult]の語源はラテン語で『共に座して議する』だそうです。 つまり、コンサルティングとは(本来)、 「権威・資格をもとにした専門的な診断・助言・指導」ではなく、 「異なる視点や経験を持つ人たちが一堂に集まり、同じ立場に立って議論・活動し、 新しい何かを共に創造していくこと(共創)」だと思います。 【プランニング】 プランニングには、「企画」「設計」「計画」の3つが必要だと思っています。 「企画」には、直感やヒラメキに基づく発想やアイディア--画期的・革新的な視点 が要求されます。 「設計」は、企画を実現させるための基本的な枠組みを工夫することです。 「計画」は、設計をさらにワークの形までブレイクダウンし、スケジュールや予算に まで落とし込んだものです。 【メッセージメイク】 コミュニケーション活動をプランニングする際の基本は、「何を」「誰に」「どのように」 伝えるか、を考えることです。 メッセージメイクは「何を」を開発することに相当します。 【サーベイ&リサーチ】 調査研究のことです。 サーベイは主に、アンケートやインタビューなどの「フィールドワーク」をさし、 リサーチは主に、サーベイの結果をもとに「分析・統合」を行うものです。 【システムデザイン】 コンピュータシステムの設計です。 LIBでは主に、利用者と開発者の間に立って「何をどのようにシステム化するか」に ついて議論しまとめる--いわゆる「要件定義」の業務を分担しています。 【ビジネスデベロップメント】 主に新規の事業開発のことです。 企業内での新規事業、あるいは合弁企業を設立しての事業開発などです。
・・・・・ ○コンサルティング、ティーチング、コーチング、カウンセリング……これらについて考えてきました。⇒ ○プロジェクトマネジメントの中で、プランニングについて触れています。⇒ ○コミュニケーション関連業務の中で、(私にとっては)メッセージ・メイクがもっとも面白いプロセスです。続きを読む⇒ ○30代後半は、調査研究の仕事にどっぷり浸かっていました。基本的な心構えなどをまとめています。⇒ ○(個人的には)本当は“ものづくり”や設計の仕事の方が適職なのではないか、という気がしています。システム開発などについてまとめています。⇒ ○30代前半に、初めて新規事業開発のプロジェクトに参画しました。40歳を過ぎてから、新商品開発と新規事業開発の中心メンバーとして携わりました。プロジェクトマネジメントの中で触れています。続きを読む⇒ ・・・・・◇契約の形態 【コントラスト型】 お客さまとの間で基本的な役割と月額費用を契約して業務を実行します。 お客さまとほぼ同じ情報を共有し、常にスタンバイ状態で取り組みます。 “協働者”あるいは“伴走者”と言ったほうが近いかもしれません。 (いずれにしても“がっぷり四つ”になるので多くの本数は抱えられません)。 【プロジェクト型】 チームを組んで、役割限定、期間限定で業務を実行します。 分担する役割は、プロジェクトのリーダー、マネジャー、メンバー、 アドバイザーなど、ケースバイケースです。 最近では、主に設計や分析、メッセージ開発関連を分担し、 メンバーやアドバイザーとして参画しています。 【リテイナー型】 いわゆる顧問契約です。必要時には必ず相談に応じます。 (定例会などへの出席以外、普段はお客さまのための仕事はしません)。 ※実際の契約は、上記3パターンの複合型で、コンサルティング契約や 業務委託契約などの名目になります。